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zoom RSS Zero Crossing: My Foolish Dreams EP

<<   作成日時 : 2008/01/09 02:27   >>

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Zero Crossing: My Foolish Dreams EP
Perfect.Toy PT024.EP

画像 05年にミュンヘンのニュー・ジャズ系レーベル、Perfect.Toyよりリリースされたシングル。ゼロ・クロッシングは、アンドレアス・アンゲラーによるソロ・プロジェクトである。“My Foolish Dreams”のオリジナル・ヴァージョンは、B面の2曲目に収録されている。ファンキーで軽快なエレクトロ・ブロークンビートを基調に、ミニマルな電子音のフレーズ群が反復を繰り返し、そこにチープなオーケストラ・ヒットの連発が華を添えてくれるのだが、夢の世界というのが大前提な話だけに、どこか内向きな印象の楽曲。そのほどよく抑制されたアシッディなブギー・グルーヴは、馬鹿げて破綻してしまっている風に感じられるものでは全くない。どちらかといえば、かなりマトモな部類に入る音楽である。その前の、B面1曲目に収録されているのは、孤高の未来派アフロ・ジャズ・サウンドをクリエイトし高い評価を獲得しているジェイムズ・ナイロンをゲスト・ヴォーカルに迎えた“Mindhunter”。ミニマルなブレイクビーツが躓きそうになりながら突っ込んでくるエレクトロ・ファンクに、ナイロンによる黒い呪術師の呪文のような深いソウルを表現する語りがヌラーリとのる。無機的なエレクトリック・サウンドと有機的なアフロやソウルという、本来は対極に位置するものをグッと引き寄せて融合させてしまう、実はかなり居心地の悪い音楽表現の、その居心地の悪さをあえて楽しむ的な妙味の部分がチラチラチラッと垣間みれるだけの楽曲には十二分に仕上がっている。だが、まあなんというか、それ以上でもそれ以下でもないというか。基本的に、ブレイクビーツやブロークンビーツというものに関して、音の面でのクリエイティヴな面白味は感じられても、そのサウンドそのものにはあまり未来は感じられないと思ったりしてしまうのである。懐かしい音(ジャズやファンクのブレイクス)をリサイクルして、どうにかそれを現在にまで引っ張ってこれたとしても、それは決してその先にまで飛躍してゆくものにはなりえない。いつまでも、どこまでも、リサイクルして引っ張り上げ続けてゆくしかないのである。その作業の繰り返しの面白さや、その奥深い音の世界の楽しさこそが、そこに多くの人々がハマる大きな要因であることは理解できるのだが…。
 A面に収録されているのは、“My Foolish Dreams”のイゾレ(Isolee)によるリミックス・ヴァージョン。Playhouseからの諸作品で知られるフランクフルトのイゾレ(ライコ・ムラー)は、泣く子も黙るジャーマン・ミニマル・ハウスの大家である。だが、そのあまりにも先進的すぎるアブストラクトな作風が、周囲に困惑やクエスチョン・マークを山のように噴出させる事態を招くということも、しばしばあったりする。常に時代よりも先を行き、唯我独尊で我が道を突き進んでいるようでいて、後になってよくよく鑑みてみるとキチンとエレクトリック・ダンス・ミュージックの未来を切り開くパイオニアとしての役割も果たしていたことが判明したりもする。そこがムラーというアーティストの何にもかえがたいファビュラスな部分でもある。本作でのリミックス・ワークでは、やや地味ながらも非常に質の高いミニマル・グルーヴを提示してみせている。カチャカチャ&ポコポコとしたファンキーなトラックに様々な電子ノイズが全方位から襲いかかってくる。イゾレが初期の作品で頻繁に用いていたヒシャゲて歪んだ電子雑音群が、久々に大量発生していて、ちょっぴり原点回帰な気分が味わえるのもイイ感じ。中盤のミニマル・グルーヴとウワモノの絡みが軌道にのったあたりから、緩やかにジワジワッと淡い暖色系のシンセのトーンが折り重なりながら滑り込んでくる瞬間は、なかなかに感動的。とどまることなく展開してゆく流れの中で、ほんの一瞬だけフワッと浮かび上がってくるサウンドではあるのだけれど。どうやら、この手の音が耳に飛び込んでくると、すぐに今は活動を停止してしまったコイルの全盛期の音を勝手に連想してしまって、条件反射的に感動してしまう体質のようである。優れたエレクトリック・ミュージックには、必ずといってよいほどコイルを連想させる音や音色、似通った要素などが含有されているものなのだ。これは、非常に個人的で了見の狭い意見ではあると思うのだけれど…。まあ、とりあえず、そう思い込んでしまっているのだからしかたがない。
 イゾレのリミックス仕事としては、最近ではやはりGet Physicalからのロパズ(Lopazz)“Share My Rhythm”(07年)のリミックスがダントツに白眉であった。この“Share My Rhythm”では、文句無しに圧倒的なイゾレによる緻密にして大胆な音響工作が目一杯に仕込まれた素晴らしいミニマル・ハウスを堪能することができる。ちなみに、この両者、イゾレとLopazz(ステファン・アイヒンガー)には、実は深いエニシがある。02年にイゾレがFreundinnenよりリリースしたシングル“It's About”に、まだ無名な存在であったLopazzがリミキサーとして起用されていたのである(イゾレの才能を見いだしたアンディ・バオメッカーが主宰するFreundinnenより、シングル“I Need Ya”を発表しLopazzが正式にデビューを果たすのは03年のことである)。約5年の歳月を経て、遂に“Share My Rhythm”でイゾレからのLopazzへのお返しのリミックスがなされたというわけである。これぞ、ジャーマン・ミニマル・ハウス界のちょっといい話といったところであろうか。
 イゾレのリミックス・ワークは、基本的にこなす数がそれほど多くはない御仁のようなのでポツポツとしか出てこないのだが、時折アッと驚くほどに凄まじく高品質なものが飛び出してきたりすることがある。これからもその動向を見失わぬように注意深く追い続けてゆく必要がありそうだ。

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