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<<   作成日時 : 2007/12/04 15:04   >>

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Die Patinnen Teil II: Maske EP
Bruchstuecke 11

画像 今はなきスイスの先鋭的なエレクトロニック・ミュージック専門レーベル、Bruchstueckeの11番(03年)。オモロいことを素直に実践している実験的な作品やチョットひと味違うテイストのヒネくれたハウス・ミュージックなど、実に興味深いリリースを続けていたレーベルの、最初のリリースから数えた作品番号の20から23番までの全4曲の楽曲が、ココには収録されている。ディー・パチンネン・テイル・II(Die Patinnen Teil II)は、ドナ・ネダ(ネダ・プロスコウ)とドナ・マヤ(マヤ・ステルネル)という2人の女性ターンテーブリストからなるユニットである。元々はケミストリー&ストームのようなコンビでドラムン・ベースをプレイするDJティームとして結成され、数々のDJバトルに参戦して暴れ回っていた、その界隈ではよく知られた猛者であったようだ。だが、徐々にマヤがドラムン・ベース、ネダがミニマル・ハウスとクッキリと異なるスタイルへと分化してゆき、おのおのの道で独自のドープなサウンドを探求しつつ、コンビでクラブでのレジデンシーを務めるという形の活動へと進化していったという。また、サウンド・プロダクションの面においても、彼女たちはターンテーブルを楽器として使うということに強いこだわりをもっており、実際に2人で4台のターンテーブルとエフェクター類、独自に開発したスコア・システム(自作のコンピュータ・プログラムだろうか?)などを操りながらコンポジションを行っている。その初期にはブレイクビーツ系の作品を中心に制作をしていたようだが、やがてミニマルやハウスなどへとプロダクションの幅が広がり、4台のターンテーブルを駆使したライヴ演奏を発展させて、短編映画に生でサウンドを提供するなどクラブ・ミュージックの枠に収まりきらない画廊や美術館での実験的な音響のインスタレートという域にまで到達してしまうことになる。この「Maske EP」では、Die Patinnen Teil II(ゴッドマザーズ・パート・II)による最も完成された形のサウンド・プロダクションを聴くことができる。おそらく、現時点ではコレが常に成長し進化を遂げてきた彼女たちの最後のリリース作品であるはずだからだ。
 ターンテーブル上のレコードを擦り、レコード針を打ちつけるノイズやレコードを手で叩くアタック音などを拾い、様々な技術を駆使しながら個性的なサウンドを作り出してゆくDie Patinnen Teil II。「Maske EP」のA面1曲目“The Flow”は、シルヴィタ(シルヴィア・ボールノウ)をヴォーカルに迎えた、ややジャジーでキャバレー風の歌物。淡々としたキックのハウス・ビートに乾いたスネアがピシャピシャと打たれるトラックの遥か下方で、ドープなベースラインが終始うごめき続けている。艶かしいシルヴィタの歌声が、妖しい地下世界に誘うように響く。低くダビーなサウンドと存在感のある歌唱の対比は、どこかニコレットあたりに近い感じを想起させてくれたりもする。これに続く“Truckdriver, Truckdriver”は、01年にL'Age D'Orより発表された「Operation Pudel 2001」の12インチ・シングル・シリーズの第4集に収録されていた楽曲。こちらは、フェルモーシュテ・フローテン(Vermooste Vloten、リボヤ・シュニュッキとハンニ・ブルームからなる女性デュオ)をヴォーカルに迎えた、とても過激なエレクトロ・ロックとなっている。トラック運転手の爛れた下半身事情を、凄まじくチープでノイジーなサウンドにのせて、赤裸々にカナリ投げやりに歌い上げてゆく。相当に無茶苦茶で悪趣味な楽曲だが、サウンド・プロダクションそのものは、ネダとマヤも容赦なく好き勝手にやらかしている分だけ相当にキレた面白味にも満ちている。終盤、唐突に歪みきったギターが乱入してきたと思ったら、すぐにジャンッとエンディングを迎えてしまうバカバカしさ。このヤケクソ感が何ともたまらない。全く手に負えない感じが楽しいのである。B面1曲目は“Disco Dog”。飼い犬のしつけトレーニング用のレコードに収録されている喋りを、スクラッチを交えながら、重心が低く重々しいディスコ・ハウスのトラックにのせた、実にシャレている楽曲。しかし、最終的にはディスコ犬のトレーニングに見事に失敗し、噛みつかれた飼い主の長い絶叫でオチがつくという失笑モノな仕掛けが待っている。確かにオチはアレなのだが、細かなパーカッションの動きなど練りに練られている音のパーツ群の組み立ては、やはりカナリ聴き応えがあるものとなっている。サウンド全体の耳触りは、極力チープに響くように計算されているので、あまり目立たないが、やってること事態には恐ろしく職人芸的なものがあったりする。まるで精密な寄木細工の職人の仕事のようですらある。ラストの“Summer In Sofia”は、1曲目の“The Flow”のダブ・ヴァージョンにさらに加工を施して新たな楽曲にリサイクルさせたような感じ。イレギュラーに躓きヨロけるレゲエ・ダブのヘヴィなトラックにドロドロに蕩けそうなサックスのフレーズ群が絡み、終盤には中近東の民謡のレコードから抜粋されたと思われる朗々たる歌声が響き渡る。あえて例えるならば、異次元のジャジーなキャバレー・ソングといったところか。全4曲、どれも実験的な楽曲であるが、そこからはバカバカしいポップ・センスや定型からどうにかしてハミ出そうとする独自の世界観が見事なまでにジワッと滲みだしていて、非常に楽しめる。あまりブッ飛んだ完成の持ち主によるブッ壊れた芸術表現に免疫のない人には、チョットお薦めできない代物であるかも知れないが。
 Die Patinnen Teil IIが、03年の本盤以降に作品を発表したような形跡は今のところ見あたらない。そして、Bruchstueckeも06年に突如その活動に幕を下ろしてしまった。重ね重ね、何とも寂しいかぎりである。

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