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<<   作成日時 : 2007/12/22 21:24   >>

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VA: Crying On The Dancefloor (Xmas Mix)
www.pitchforkmedia.com

画像 サリー・シャピロのプロデューサー、ヨハン・アゲビヨン(Johan Agebjorn)によって制作されたクリスマス向けのスペシャル・ミックス作品。これはUSの音楽情報サイト、Pitchfork Mediaのダウンロード・ページにおいてMP3ファイルの形式で発表されたものである。もちろんダウンロードは無料であり、誰でも簡単に入手できる。これは、アゲビヨンが日頃の感謝の念をこめて特別にPitchfork Mediaのためにミックスしたもの。Pitchfork Mediaは、常にアゲビヨンとシャピロの作品を非常に高く評価している。今のところ、このファイルは、Pitchfork Media以外ではアゲビヨン本人のホームページ(Paper Bag経由で)のみでしか配布されていないようである。基本的にエクスクルーシヴ。そんな謝意と真心がギッシリと詰め込まれたミックスのタイトルは、『Crying On The Dancefloor』。もしもダンスフロアで聴いたならば、きっと踊りながら涙がチョチョ切れてしまうに違いない、感涙モノの素敵な楽曲たちを選りすぐってコンパイルしたミックスのクリスマス版、といったところだろうか。涙腺が弱い人などは特に、不意に涙があふれてきても平気なように、あらかじめハンカチを用意しておいてから聴く必要がありそうだ、これは。
 『Crying On The Dancefloor』のオープニングを飾るのは、84年にSound Of Scandinavia(SOS)より発表されたフェイクの“Empty Garden”。フェイクは、80年代に活躍したスウェーデンのディスコ・ポップ・グループ。彼らは母国スウェーデンのSOSだけでなく、イタリアのIl DiscottoやCGD、フランスのCBS、ドイツのZYXと欧州各国のレーベルからも作品をリリースしており、80年代中盤のユーロ・ディスコ界においてはチョットしたヒット・メイカーであった。どちらかというとイケイケでバリバリのディスコ曲よりも北欧らしいクラシカルでシットリめのシンセ・ポップが彼らの売りであり、このアルバム『New Art』の収録曲であった“Empty Garden”においても、どこか哀愁感が漂うオーケストラル・サウンドが展開されている。このややマニアックなフェイクのアルバム収録曲を冒頭にもってくるセンスは、いかにもスウェーデン在住の熱狂的なイタロ・ディスコ/ユーロ・ディスコの愛好家であるアゲビヨンらしいものである。その壮麗なムードの中に続いて登場するのが、イタロ・ディスコを代表する歌姫であるヴァレリー・ドーア(ノヴァチェント)が84年にMerak Musicより発表した大名曲“Get Closer”だ。いきなりこんなガチガチの名曲で攻めてくるとは、これはもうド頭から泣けてきてしまう。なんだか泣けてくる、思わず泣けてくる。どこまでも一本調子に多少ウワズリ気味の情感に乏しいソプラノ唱法を押し通すドーアのヴォーカルに、チトチトとシンセのアルペジオが絡むと、不思議なことに絶対的にして侵し難いユーロ・ディスコの世界が瞬時にしてズドーンと構築されてしまう。単純な打ち込みのビートと淡々と刻まれてゆくベースライン。全てのサウンドの構成要素が絶妙なバランスを保ちながら危ういほどに美しい音の調和を織りなしている。この世界が終わりを迎える日に、天から降り注ぐように優しく鳴り響く“Get Closer”。聖夜とは、そんな終末の日に人類が最も近づくことになる運命の夜のことをいうのかも知れない。そして、ドーアのドコまでも純粋無垢な歌声の後に続くのが、サリー・シャピロの“Skating In The Moonshine”である。これは、07年にUSのPaper Bagより再リリースされた改訂版『Disco Romance』に収録されていた楽曲。北欧の夜の澄んだ凍てつく空気の中、凍結した湖で月明かりに照らされながらアイス・スケートを楽しむ。この光景というのは、スウェーデンならではの冬の風物詩といえるものなのであろうか。若いカップルが両親には内緒で家を抜け出して夜の湖でスケート・デートとは、何とも甘酸っぱくロマンティックな感じがしなくもない。だが、実際のところ、これは物凄く寒そうではあるけれど。しかし、こうしてドーアとシャピロのヴォーカルを続けさまに耳にしてみると、どちらも極めて平坦な囁き&呟き系の歌唱をする同じタイプに属するシンガーだと思っていたのだが、どちらかというとドーアのほうがモロに素人臭く拙さを前面に押し出したヴォーカリゼーションを行っていたという事実に否が応でも気づかされることになる。これはチョットした驚きだ。あのシャピロの歌声のほうがずっとプロの歌手っぽく、安心して聴いていられるのである。まあ、これはあくまでも、どちらかというと、というレヴェルの話ではあるのだが。そんなノッペリと起伏のないシンセ・ポップに次第にホットなエレクトロ・ビートがミックスされてゆき、その上空から単純明快なシンセ・フレーズのリフレインが大仰に響き渡る。お次は、86年にスペインのBlanco Y Negro傘下のIndalo Musicより発表されたスカッシュ・ギャングのヒット曲“I Want An Illusion”である。フェリックス・B・マンジョーネによる哀愁のユーロ・ディスコ・サウンドに、クールな男女のツイン・ヴォーカル。ブレイク部でのドラムのおかずからシンセのアルペジオ、間奏でのスペイン語の語りなど、どこもかしこもいちいち徹底して80年代のユーロ・ディスコ臭いのが堪らない。肉感的な情熱を内に秘めたラテン系のノリが微かに注入されたところで、元気よく飛び出してくるのが元アラベスクのサンドラによる89年のヒット曲“Around My Heart”だ。80年代初頭にドイツから登場し世界中のダンスフロアを席巻したアラベスク時代のノリを基本的に継承した、凄まじく明るいラテン系ディスコ・ポップス。華やかなバッコンバッコンと打ちつけられるタイトだが大袈裟なダンス・ビートに、飽きれるほどキャッチーなサビのメロディ、そして唐突に割り込んでくるヴィブラフォンのソロと、思わずグッときてしまう要素が満載のナイスなサウンドである。安易にハイ・エナジーやユーロ・ビートへと流れずに、80年代中期のラテン・フリースタイルに頑固に踏み止まっている雰囲気もイイ。また、89年の作品ながらもアシッド・ハウスからの影響が微塵も見受けられないあたりも奇跡的である。プロデュースは、80年代初頭からドイツで活躍しているシンセ・ポップ職人のマイケル・クレトゥ。このクレトゥは、サンドラの旦那さんでもあり、90年に世界的な大ブレイクをすることになるエニグマの影の仕掛人としても知られる。と、かなり躁状態のホットな展開が続いたところに、スルッと滑り込んでくるのが84年にMerak Musicより発表されたアンジー・ケアの“Your Mind”。こちらも前出のヴァレリー・ドーア“Get Closer”と同様に、ロベルト・ガスパリーニとノヴァチェントのリノ・ニコロッシの黄金コンビによる圧倒的な完成度を誇るプロダクションがキラリと光る、イタロ・ディスコの不滅のクラシック・チューンである。メランコリックなシンセのフレーズがハラハラと舞う中を、ケアの澄みきったまろやかなソプラノ・ヴォーカルが、孤独の闇を照らす閃光のように駆け抜けてゆく。サビの部分のコーラスにはドーアもゲストで参加しているようだが、多少情感がこもった歌唱をこなせている分だけ、どう考えても歌手としての力量はケアのほうが上だろう。まあ、典型的なイタロ・ディスコ作品であるので、ケアのヴォーカルにしても、そのへんにいた普通の女の子をスタジオに連れてきていきなり歌わせてしまったような、どうしようもない素人臭さは十二分に漂ってはいるのだけれど。84年のドーアの“Get Closer”に始まり84年のケアの“Your Mind”へと見事に着地した80年代ユーロ・ディスコの流れはココで一旦終了。それに代わって登場するのが、06年にRicoより発表されスウェーデンで大ヒットを記録したニコラス・マッケルベルグの“Dying In Africa”。この異様にライト・タッチなシンセ・ポップ曲は、84年のイタロ・ディスコの古典的な楽曲の次にミックスされても、全く違和感がないのである。これは正直言って相当な驚きだ。この22年間に音楽は全く進歩をしていなかったのだろうか。そのフンワリと漂う力みのないソフトなヴォーカル・スタイルなどから匂ってくるのは、80年代のピーター・ガブリエルが打ち出していたゴージャスなエレクトロニック・ポップ・サウンドからの影響であったりする。あのリッチな音を、何とかして21世紀風に焼き直そうと試みた挙げ句に、恐ろしく軽いポップなユーロ・ディスコと化してしまった、という感じだろうか。チョロッとだけだが、出来損ないのニュー・オーダーといった雰囲気なども漂っていたりする。どうやら、スウェーデンという国では、シンセ・ポップの血脈も、ユーロ・ディスコの血脈も、その全盛期から20年以上が経過した今でも脈々と受け継がれているようである。そんな濃い血脈を受け継ぐ者の筆頭に位置づけられているのが、ロジャー・グナーソンという人物だ。お次は、そのロジャー・グナーソンが率いるニクソンが01年にBennoより発表した“Anorak Christmas”である。これはアゲビヨンの手によってカヴァーされ、06年のクリスマスにシャピロのセカンド・シングルとして発表された楽曲のオリジナル・ヴァージョンとなる。実にチープでナヨナヨとしたシンセ・ポップ曲である。このナードな佇まいは、きっと秋葉原や中野でもスンナリと受け入れられることだろう。いや、21世紀のネオ渋谷系としてもイケるだろうか。チープな打ち込みドラムによるトラックに、牧歌的な響きのシンセのフレーズと素人臭い女性コーラスがささやかに華を添えるサウンドは、ヤケに和む。一時のような熱狂は完全に冷めきってしまった感のあるスウェディッシュ・ポップのブームであるが、まだまだあの国の音楽界には底知れぬポテンシャルが秘められていたようである。キーワードは、シンセ・ポップとユーロ・ディスコであろうか。そして、このミックスのグランド・フィナーレを飾るかのように、グナーソンのヘナヘナなサウンドの上にガツーンと降臨するのが、84年に発表されたA-haの世界的大ヒット曲“Take On Me”(大ブレイクしたのは85年の再リリース盤)である。ノルウェイ出身のイケメン・トリオによる“Take On Me”は、今だに北欧産シンセ・ポップの代名詞として堂々とその頂点に君臨し続けている。実にポップでキャッチーなシンセのフレーズとメロディ・ライン、そしてどこかノドカさすら漂うサビでのモートン・ハルケットの気持ちよさげな歌唱と、一度聴いたら二度と頭から離れない麻薬的な魅力が、この楽曲には確実に備わっている。80年代ポップスの永久普遍のきらめき。この“Take On Me”を聴いていると、それを痛感せずにはいられない。北欧に生まれ育ったアゲビヨンでなくとも、この決して輝きを失うことのないキラキラとしたポップなサウンドには、チョッピリだけ涙がチョチョ切れるものがあるはずだ。涙で目の前がくもってメロディ・ラインのキラキラが滲み霞んでゆく中を、“Take On Me”はゆっくりとフェイド・アウトしてゆく。この北欧が生んだ大ヒット曲で絶頂に達し、涙の大洪水のうちに『Crying On The Dancefloor』は終幕を迎えるのかと思いきや、そこに聖なる夜の夜風に舞い上がるダイアモンド・ダストのような清らかなシンセのサウンドと、やや舌足らずな喋りの女性が切々と傷心の苦しい胸の内を吐露する呟きが静かに流れ込んでくる。これは、『Crying On The Dancefloor』にボーナス・トラックとして収録されたサリー・シャピロの“Jackie Jackie (Spend This Winter With Me)”。この“Jackie Jackie (Spend This Winter With Me)”は、前出の“Skating In The Moonshine”と同様に、07年にUSのPaper Bagより再リリースされた改訂版『Disco Romance』に新たに収録された楽曲であり、“Anorak Christmas”を書いたロジャー・グナーソンがシャピロのために書き下ろした新曲でもある。そして、ここで聴ける“Jackie Jackie (Spend This Winter With Me)”は、『Disco Romance』に収録されている通常のアルバム・ヴァージョンとは異なる、まさにクリスマスの聖夜用に再編集されたかのようなビートレスのスペシャル・ミックスとなっている。おそらく、これはこの『Crying On The Dancefloor』でしか聴けないヴァージョンであろう。最後の最後に静々とお出ましになる、この特別な楽曲は、アゲビヨンとシャピロからのサプライズなクリスマス・プレゼントということなのであろうか。何とも心憎い演出ではないか。泣けてくる。まんまとアゲビヨンによる『Crying On The Dancefloor』の術中にすっぽりとハマってしまった形ではあるのだが、こんなにもハート・ウォーミングなクリスマス気分にさせてもらえるのであれば、いつまでもいつまでもズブズブとそこにハマり続けていたいような気にもなったりする。メリー・クリスマス。
 独特の煌めきと透明感をもつ北欧のシンセ・ポップ・サウンドから時代を超越したイタロ・ディスコ/ユーロ・ディスコのクラシックスまでを、ギュギュッと凝縮してコンパクトにパッケージングしたスペシャルなクリスマス・ミックス作品『Crying On The Dancefloor』。スウェーデン在住のプロデューサー、アゲビヨンから届けられた粋な仕掛けがこらされた季節のご挨拶。賞味期限切れになる前に、美味しくいただいてみてはいかがでしょうか。(07年)

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