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zoom RSS Do you remember the 28th night of September (III)

<<   作成日時 : 2011/11/01 04:00   >>

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画像そして、9月最終週の水曜日、28日には、T-araがシングル“Bo Peep Bo Peep”で日本デビューを果たした。あの必殺のねこダンスという飛び道具をいきなり使ってくるとは、イメージ戦略的にも実に心憎いものがある。アイドル・グループの女の子たちに猫耳に猫の手でニャオニャオ踊られたら、どう考えても無条件に可愛らしくなるに決まっているのだから。
T-araは、この9月に日本でのリリースのあったガールズ・グループたちと同期の09年にデビューした七人組である。結成時には五人組であったが、活動初期にメンバーのうちの二人が脱退し、新たに三人が増員され六人組となる。この時に脱退したジウォン(Jiwon)は、元五少女のメンバーでもあった。また、この時に加入したソヨン(Soyeon)は、以前はSM Entertainmentの練習生であり、07年のデビュー直前まで少女時代(SNSD)のメンバーの一員としてリハーサルを重ねていた経歴をもつ。
このあたりの動きや相関関係は非常に入り組んでいるのだが、K-POPシーンにおける芸能事務所の練習生制度の内状や、アイドルの卵たちを取り巻く過酷な競争の現実などが、そこから垣間見れるようで大変に興味深い。後にソヨンは、アイドル・グループの一員としてデビューすることは、非常に大きな精神的なプレッシャーを被る経験であったと語っている。そして、少女時代のメンバーとしてほぼ八割方デビューすることが決定していながら、彼女はまだそのための心の準備が整っていないことを理由に、SM Entertainmentの練習生を突然辞めてしまうのである。きっと、相当に深く思い悩んだ末の決断であったのだろう。ひとりでは受け止め切れぬほどの様々なプレッシャーが、そこにはあったに違いない。
やはり韓国では、まだ幼い10代の少女がアイドル・グループの一員として眩いスポット・ライトの中に立つためには、想像を遥かに越える覚悟が必要となるということなのか。そうした諸々のことを踏み越えた上で、あのステージ上の華やかさがあるのだと思うと、全く重みが違って見えてくるようでもある。だが、そうした過酷な世界であるにも拘らず、11年に入ってからも夥しい数の女性アイドル・グループがデビューしているという紛れもない現実が、もう片方にはある。この事実が示す通り、そこは多くの少女たちにとって輝きに満ちた夢と憧れの世界なのである。そして、これだけ韓国の歌謡界でガールズ・グループが隆盛を極めているということは、その裏側では、これからも明日のトップ・アイドルを目指す多くの少女たちが練習生としてこの世界に足を踏み入れる状況が生み出されるということでもある。競争の過酷さは、今後さらに増してゆくかも知れない。しかし、時代の変遷とともに、韓国の芸能の世界において女性アイドル歌手の地位というものが次第に向上してゆく傾向も見られつつある。かつてソヨンが練習生だった頃とは、かなり内状は変わってきているのかも知れない。そこでは、今、様々な地殻変動が起きつつある。
その後、10年7月には新メンバーのファヨン(Hwayoung)が増員され、T-araは現在の七人のライン・アップとなった。ファヨンは双子の姉妹の妹であり、姉妹二人で出演した素人参加番組「スター・キング」において注目を集め、現在の芸能事務所にスカウトされた。姉のヒョヨン(Hyoyoung)は、T-araと同じCore Contents Mediaに所属する、男女共学(Co-Ed School)と5dollsのメンバーとして活躍中である。
このように、K-POPのシーンにおいては兄弟姉妹や従兄弟・従姉妹で揃って活動しているケースが、ちらほらと見受けられる。少女時代のジェシカ(Jessica)とf(x)のクリスタル(Krystal)のチョン姉妹や、2NE1のサンダラとMBLAQのサンダー(Thunder)のパク姉弟のように。これは、親が子供たちに幼い頃から歌やダンスなどの習い事を熱心にさせていることが影響しているのではなかろうか。おそらく、新しいアイドル歌謡の形が広く定着した90年代後半や「冬ソナ」に代表される第一次韓流ブームの00年代前半以降、こうしたエンターテインメント方面の総合的な教育に力を入れる家庭というのも、決して少なくはないのであろう。また、一概にそうとは言えないかも知れないのだが、チョン姉妹やパク姉弟が、ともに国外の韓国人コミュニティにおいて育っていることも気になるところではある。母国を離れ海外に移住した韓国人(コリアン・ディアスポラ)の家庭(特に80年代から90年代前半にかけて出国を余儀なくされた若い移住家族)では、もしかすると子供たちを芸術やスポーツなどの関係の方向へ進ませようとする傾向が比較的強かったりするのかも知れない。
T-araは、09年7月27日、配信のみで発表されたシングル“Lies”でデビューした。その後、9月15日に再び配信のみで発表されたシングル“TTL”(同じ事務所に所属するボーイズ・グループ、超新星(Supernova)とのコラボレーション曲)で、初のチャート第一位を獲得。そして、12月4日には、早くもファースト・アルバム“Absolute”をリリースし、ここからシングル・カットされた“Bo Peep Bo Peep”が、年をまたいでヒットする。この楽曲では、六人のメンバーが猫の手を付けたキュートな振り付けが、大きな話題となる。
このように、T-araは、デビュー当初から非常に順調にヒットを連発し、わずか半年の間にトントン拍子にスターダムへと駆け上がりブレイクにまで至っている。所属事務所のCore Contents Mediaは、韓国の芸能の世界に君臨する三大事務所に対抗する形で、00年代に登場した新興の勢力の最右翼である。このCore Contents Mediaという事務所は、ケーブルTV局のM.netを軸に放送からオンラインまでの各種メディアとエンターテインメント事業を幅広く手がけるMnet Media傘下の芸能部門となる。芸能事務所としての歴史はまだ浅いが、放送メディアの世界において大きな影響力をもつのが一番の強みであろうか。毎週木曜日のK-POPのチャート番組「M! Countdown」を放送している韓国音楽専門のケーブルTV局、M.netが、現在の世界的な新韓流の動きにおいて果たしている貢献度は極めて高い。そうした新韓流の大きな動きの中で、Core Contents Mediaが、最も力を入れて精力的に活動を展開させているガールズ・グループが、このT-araなのである。そして、国内的には、まさにこのT-araは、これまでの三大芸能事務所の牙城を突き崩す急先鋒でもある。
T-araが実に幅広い層に人気を博しているのには、いくつかの特別な理由があるように思われる。その中でも、最も大きい要因は、やはりその極めて親しみやすい楽曲の魅力にありそうだ。常にT-araの楽曲は、いかにも歌謡曲らしい歌謡曲なのである。多くのK-POPのガールズ・グループが、ヒップホップやR&B、レゲエなどのサウンド要素を取り入れた楽曲で、ほかにはない個性を打ち出そうと躍起になっているのを尻目に、T-araは、あくまでもアイドル・ポップな歌謡曲路線を貫き通している。実際、サウンド面ではエレクトロ・ポップやダンス・ポップ的な楽曲をメインに展開しているが、その歌そのものには、どうしようもなく大衆的な歌謡の匂いが感じ取れるのである。そんな世代を越えて親しむことが可能な歌謡曲のメロディこそが、T-araの人気の秘密であろうことは想像に難くない。特に、デビュー曲の“Lies”や、そのフォロー・アップ“TTL”、アルバム収録曲の“Apple is A”や“You You You”あたりの楽曲には、韓国大衆歌謡やポップ・トロットにも通じるノリが非常に色濃くある。こうしたアジアの土着的なネットリとしたメロディに、DNAのレヴェルで抗いがたいものがあることも事実であろう。T-araの成功の裏に、そんな老若男女問わずに親しめる大衆的な歌謡曲のノリがあることは、なかなかに興味深い。メディア寄りのマーケティングを展開するCore Contents Mediaとしては、やはり大衆歌謡の支持層の根強さは無視できないものであったのであろうか。このあたり、常に音楽面やサウンド面での最先端を追求し続ける大手の三大芸能事務所との戦略的な相違も、大変に面白いものがある。
10年の3月3日には、ファースト・アルバムの新装盤となる“Breaking Heart”がリリースされた。ここからは、フィソン(Wheesung)の手がけた新曲“I Go Crazy Because of You”がシングル・カットされ、大ヒットを記録している。この“I Go Crazy Because of You”では、“Bo Peep Bo Peep”のねこダンスで見せた可愛らしさとは全く異なる、椅子を使ったセクシーなパフォーマンスが大きな話題となる。その後は、グループでのブレイクを受けて、ウンジョン(Eunjung)やジヨン(Jiyeon)のドラマや映画への出演や、ドラマや映画のサントラ盤へのソロ楽曲での参加など、各メンバーの個別での活動が目立ってくる。そして、12月3日に、活動再開の復帰作にして、ファヨンが加入し七人組となってからの初の作品となるミニ・アルバム“Temptastic”が発表される。ここからは、レトロなズンタタ・ビートの“Why Are You Being Like This?”とノリのよさとユニークなコミカルさを併せもつダンス・ポップの“Yayaya”の二曲がプロモーション活動曲となり、これが同時ヒットとなる。いずれも、とてもT-araらしい直球の歌謡曲路線のヒット曲で10年を見事に締めくくることに成功している。
その勢いは11年に入ってからも、全く止まる気配がない。6月29日にミニ・アルバム“John Travolta Wannabe”をリリース。この作品のコンセプトは、そのタイトルにもある通り映画「サタデー・ナイト・フィーヴァー」のジョン・トラヴォルタに象徴される70年代後半のディスコ・ミュージック/ディスコ・ダンスである。これは、シークレットの“Shy Boy”あたりから始まった11年のトレンドであるレトロ・ポップの流行に、ぴったりとマッチした路線でもある。この作品からのシングル曲“Roly Poly”では、半ドラマ仕立ての約12分間の大作MVが制作され、そのディスコ・リヴァイヴァルのコンセプトが明確に打ち出された(このMVには、グループの最年長メンバー、ボラム(Boram)の父親で70年代から活躍するヴェテラン歌手のチョン・ヨンロク(Jeon Youngrok)が出演している)。そして、“Roly Poly”のパフォーマンスでの七人揃っての華やかなディスコ・ダンスは、11年の夏のディスコ・ブームの発火点にもなった(ダル・シャーベットの“Bling Bling”などが、このブームの流れに続いた)。また、この“John Travolta Wannabe”には、10年12月に発表された“Temptastic”の全5曲のダンス・リミックス・ヴァージョンが収録されてもいる。そして、大ヒット曲の“Roly Poly”を生んだ、盛り沢山の“John Travolta Wannabe”は、ミニ・アルバムには珍しく新装盤が8月22日にリリースされることになる。ここには、新たに“Roly Poly”をユーロ・ディスコ風にリアレンジした“Roly-Poly in Copacabana”が追加収録されている。ちなみに、ここでいうコパカバーナとは、78年にバリー・マニロウ(Barry Manilow)が同名の大ヒット曲で歌ったニューヨークのナイトクラブの名に由来するものではなく、かつてソウルの鍾路にあった有名ディスコのことであるようだ。おそらく、約30年ほど前に民主化運動と五輪開催に向けた大きなうねりの中にあったソウルの街で夜遊びをしていた世代にとっては、とても懐かしい響きをもつ名前なのであろう。ただ、そんな世代を越えたロングラン・ヒットとなっていた“Roly Poly”であったが、8月の末には全てのプロモーション活動が少し早めに切り上げられることになる。彼女たちには、その後の日本デビューに向けた準備作業が控えていたのである。
そして、9月28日、日本語版の“Bo Peep Bo Peep”で遂に日本上陸を果たす。K-POPガールズ・グループの最後の女王というやや大仰な触れ込みで登場したT-araであったが、このデビュー・シングルで、その触れ込みに違わぬ数々の偉業を達成することになる。“Bo Peep Bo Peep”は、外国人グループ/外国人女性アーティストとして史上初のデビュー曲でのチャート初登場第一位を獲得したのである。これは、09年デビュー組のグループたちが常にその背中を追いかけていた、10年に日本デビューした新韓流の中心的存在であるKARAや少女時代でさえも成し遂げられなかったことであった。ただ、そうしたいち早く日本のマーケットにチャレンジしたKARAや少女時代が切り拓いてきた道があり、先行したグループたちの幅広い活躍によって新韓流の波自体が大きな高まりを見せてきた時期だからこそ、今回のT-araのいきなりの成功があったのだともいえる。このK-POPブームの高まりは、これに続いて日本進出を狙っているグループやアーティストの勢いをも、さらに加速させてゆくことであろう。T-araが“Bo Peep Bo Peep”で偉業を成し遂げ、ひとつの金字塔を打ち立てたK-POPというものが、今後この日本でどのように受容され浸透してゆくことになるのか、具に注目してゆきたいところである。00年代に興った新韓流の動きは、ここにきて明らかに新たな局面へと突入しつつある。このままゆくと、ヒット・チャートの大半が韓国人アーティストで占められる日が来るのも、そう遠いことではないのではないかと思えてきたりもする。
そしてまた、この“Bo Peep Bo Peep”の歌唱が、これまでの日本語詞のK-POPとは比較にならないほどに安心して聴けるものとなっていることは、特筆すべき点である。この完全にしっくりと音と言葉が馴染んでいる感じは、ほぼ最近のKARAの日本語歌唱にも匹敵するレヴェルといってよいだろう。やはり、T-araとは、デビュー当初からずっと伝統的な大衆歌謡に通ずる、誰にでも親しみやすい歌謡曲らしい歌謡曲を歌い続けてきたグループなのだ。そうした音楽的な素地の部分から、アイドル歌謡のプロダクションには滅法強いDSP MediaのKARAやレインボーと同様に、日本の歌謡曲の世界とも非常に高い親和性をもつ力を自然に身につけていたのであろう。
また、その日本語詞そのものも、オリジナルの韓国語詞の語感や言葉の意味を最大限に活かしたものとなっていて、ほとんど違和感を感じさせないのである。サビのパートの「ナッテメイジェン」の部分は、日本語版では「こっち、向いて」と歌われているが、このあたりの言葉の響きが似通った日本語詞のあて方は、なかなかに心憎い。元々の歌詞に慣れ親しんだ耳にも、こうした日本語詞であれば実にすんなりと飛び込んでくる。そして、韓国語版では次第に心が離れてゆく恋人に向けて歌われる「ナッテメ」という言葉が何度も登場するのだが、日本語詞の中には、それに相当する「私のせい」という言葉が一度も登場しないのも面白い。原曲ではひとつのキーワードとなっている「ナッテメ」に一切頼らずに、オリジナルの歌詞の世界や流れを決して崩すことなく、新たな日本語詞の世界が築き上げられているのである。これは、K-POPの日本語詞には、原曲の歌詞の言葉を重視するよりも、実際に歌う際に無理のない言葉を用いた訳詞が必要となることを示す、よい手本のような作品なのではなかろうか。そういった意味でも、この日本語版“Bo Peep Bo Peep”は、かなりの傑作だといえそうだ。
このシングルのカップリングには、本国では10年の春にヒットした“I Go Crazy Because of You”の日本語版となる“LOVE ME ! 〜あなたのせいで狂いそう〜”が収録されている。こちらも、オリジナルの韓国語詞の雰囲気をそのままに翻訳したような、いかにも歌謡曲らしい日本語詞となっていて、なかなかの出来映えである。T-araのもつコケティッシュなセクシーさが、非常によく表現されている。
また、“Bo Peep Bo Peep”と“I Go Crazy Because of You”が実際にヒットしていた時期には、まだグループに加入していなかったファヨンのねこダンスなども、個人的にはとても注目したいところではある。ファヨンは、まだ高校生であるのだが、すでに身長はグループ内で一番高い。常にひとりだけ踵の低い(あまりオシャレではない)靴を履かされているにも拘らず、明らかにメンバーの中でひと際大きいのである。俗に93 Lineと呼ばれて一括りにされることのある、93年生まれのアイドル・グループのメンバーには(94年生まれのMiss Aのスジ(Suzy)やf(x)のソルリ(Sulli)、ダル・シャーベットのスビン(Subin)なども含めて)、なぜか身長の高い女の子が多い。もう見るからに基本的な体型からして、それまでの世代の平均的なアジア人の体型とは大きく異なっているのである。彼女たちを見ていると、まさに全く新しい世代の台頭をヒシヒシと感じずにはいられなくなる。エイ・ピンクの美貌の末っ子、オ・ハヨン(Oh Ha Young)などは、96年生まれの15才で、まだ中学生であるのだが、すでに身長は軽々と170センチに達しそうなほどであったりする。これから、まだまだグングンと伸びそうな気配は濃厚にある。この世代のアイドルたちが、このままスクスクと成長していったら、数年後にはかなり物凄いことになっているのではなかろうか。非常に楽しみだ。
間違いなく、T-araは、今最も勢いのあるガールズ・グループである。その眩いほどの輝きを放つ勢いには、“Gee”や“Genie”を大ヒットさせ、飛ぶ鳥を落とす勢いであった09年頃の少女時代を思わせるものすらある。ある意味では、現在のT-araは、あの当時の少女時代のレヴェルに、ほぼ追いつきつつあるのではなかろうか。しかし、昨年の日本デビュー以降さらにひと回り大きく成長し、初のコンサート・ツアーも経験して、そのパフォーアンスに自信を深めつつある少女時代は、すでにそこからもう一段も二段も上のレヴェルにまで到達してしまっているのだが。ただ、こうして、着実にステップ・アップしているT-araなどの存在によって、かつて少女時代がいた場所が埋めらてゆくことは、決して悪いことではない。この09年デビュー組のT-araにしても、より下の世代となるエイ・ピンクやダル・シャーベットによって、今や猛追されている状態にあるのだから。このように飽くなき上昇を続ける多くのガールズ・グループの存在は、K-POPシーンの全体的な質の向上をも担ってゆくことになるに違いない。また、日本を始めとする海外の市場への積極的な進出は、韓国の歌謡界における、より健全な競争を促してゆくことにもなるであろう。まさに、この10年から11年にかけての、かつてなかったような動きは、韓国の/日本の/東アジアの/ポップ・ミュージックにとって、ひとつの大きな節目を形成するものであるのかも知れない。

こうして、毎週水曜日に注目のK-POPガールズ・グループのリリースが続いた11年の9月は、最後に登場したT-araが新たな歴史を作って、これ以上ない形で締めくくられた。
4ミニッツの“Heart to Heart”は、3種類の形態でリリースされチャートの最高位は18位。これは、ほかのグループの成績と比較するとやや見劣りする順位であるかも知れないが、4ミニッツの日本での作品は、常にこれぐらいの成績を安定して叩き出してはいる。つまり、ある程度の規模の固定ファン層が、すでにしっかりと確立されているのである。あとは、この固い支持基盤を、いかに拡大させてゆけるかであろう。トップ10に頻繁に顔を出すくらいになると、また4ミニッツを取り巻く日本での状況も変わってくると思うのだが。日本では、ユニヴァーサル・ミュージック傘下の邦楽専門レーベル、Far Eastern Tribe Recordsに所属している4ミニッツ。あまりメディアでの大々的な露出がない割には、かなり健闘している方なのではなかろうか。ただ、日本でK-POP関連の大きなイヴェントが催される際には、必ずといってよいほど来日し出演しているので、そうした地道で着実な活動が実を結ぶ日も、そう遠くはないはずである。
レインボーの“A”は、4種類の形態でリリースされチャートの最高位は3位。このデビュー曲で、いきなり初登場3位という記録は、KARAの“Mister”での5位と少女時代の“Genie”での4位という記録を上回るものであった。全く申し分のない上々の滑り出しといえるであろう。リーダーのキム・ジェギョン(Kim Jae-kyung)は、日本でのレインボーの知名度が思いのほか高かったことに対し素直に驚きを隠さなかった。本人たちにしてみれば、KARAや少女時代などの先輩の大物グループと比べれば、まだまだレインボーは駆け出しの下っ端だという認識があったのだろう。しかし、日本でのデビュー・シングルを発表し、蓋を開けてみれば、レインボーの方が先輩たちよりよい成績を上げてしまったのだから、これは驚き以外の何物でもなかったに違いない。この日本デビュー曲の好成績によって、きっとレインボーの七人も相当に自信をつけたのではなかろうか。これからのレインボーの活躍が、とても楽しみになってくる。まだまだ秘められた可能性が眠っていそうなグループであるだけに、今後の飛躍にも大いに期待が高まるところである。
2NE1の“NOLZA”は、3種類の形態でリリースされアルバム・チャートの最高位は見事に第1位。海外の女性アーティストによるデビュー作で初登場首位の獲得は、03年のt.A.T.u.以来の史上二組目の快挙であるという。あの世間を騒がすだけ騒がせ社会現象にまでなったt.A.T.u.に比類するほどの記録であるのだから、これはもうちょっとした事件である。また、デビューに合わせて行われたコンサート・ツアー、Nolza in Japanでは、横浜、神戸、幕張の3ヶ所全6公演で約七万人の観客を動員している。もはや、完全に大物アーティスト並みである。これまで単独でのライヴ・コンサートですら全く行ってこなかった2NE1が、いきなりツアーまでこなしてしまったことは、少しばかり驚きでもあったが、結果的に大成功に終わったことは、様々な意味でとても大きい。日本でのプロモーション活動においては、メディアへの露出とともにコンサート・ツアーで全国を回ることは非常に大きな比重を占めてくる。5月から7月にかけて少女時代も大々的にアリーナ・ツアーを行っているが、TV出演や各種イヴェント、多数のアーティストが出演する企画モノのコンサートなどが中心の韓国での活動とは異なる、日本における音楽活動の様式にいち早く対応することが、K-POPのアーティストの日本での生存競争において重要視されてくる可能性は大だ。現在の「M! Countdown」や「Inkygayo」のような人気音楽番組がひしめく韓国でのTV事情と比較すると、日本においては、そうしたアイドル・グループが大挙して出演できる音楽番組は極端に少ないのである。2NE1の四人も、今回のツアーを大成功させグループとしてのパフォーマンスのポテンシャルに、あらためて自信をつけたのではなかろうか。このように、K-POPのガールズ・グループが、日本デビューを通じて、グングンとひと回りもふた回りも大きく成長してゆく様を目の当たりにするのは、何とも頼もしいものがある。きっと、1年後には2NE1も、今以上に無敵で唯我独尊なガールズ・グループとなっていることであろう。非常に楽しみだ。

このように、記録を打ち立てたT-araのみならず、K-POPのガールズ・グループの作品は、軒並み好セールスとなっている。やはり、そこで注目をしておきたいのは、この人気が、こうしたガールズ・グループのメンバーとほぼ同世代の女性を中心とした同性のファン層からの絶大な支持によって支えられている点である。韓国の女性アイドルは、どういう訳か世界中どこででも女性からの人気が高い。同性からも憧れの目で見られるアイドルというのは、それだけアイドルらしいアイドルともいえるのかも知れない。ただ異性の視線を集めるだけのアイ・キャンディとしてあるだけでは、もはやそれは本当の意味でのアイドルとはいえなくなりつつある。KARAや少女時代を筆頭に、今やK-POPのガールズ・グループは、ファッションやヘア&メイク、そして日々の生き方に至るまで、広く多方面に影響を及ぼしている。かっこよく、可愛らしく、強く逞しく、どこまでも自由で奔放に。そこに見出されるのは、現代を生きる女性にとってのいくつかのロール・モデルのヴァリエーションである。特に、2NE1などは、グループのトータルなイメージやコンセプトとして、そうした現代的な新たな女性像を表明することに対して非常に意識的な面をもっているといえる。逆に、日本のアーティストは、作品そのものを表現することを大切にする傾向が非常に強く、自己主張や生き様の部分までを表に出すことは稀で、どちらかというと控えめな印象である。こういった部分からも、K-POPのガールズ・グループの、その存在そのもので魅了し、滲み出す個性や醸し出す雰囲気で引きつける様式には、これまでにはなかったような新鮮味が感じられたりもするのではなかろうか。
とにかく、この11年の9月が、K-POPと日本の歌謡曲の歴史において、大きなエポックとなるひと月であったことは確かであろう。もはやK-POPは、一過性のブームなどではなく、日本の歌謡曲の一部に完全に溶け込んでしまっているともいえそうである。今、KARAよりも歌謡曲らしい歌謡曲を歌うガールズ・グループが、この日本に何組いるであろうか。

追記
この9月以降も、K-POPのガールズ・グループによる日本でのリリースは、続々と登場する予定である。
画像KARAは、10月19日に日本での五作目のシングルとなる“Winter Magic”をリリースしている。前作の“GO GO サマー!”に引き続き、しっかりと季節感を盛り込んだ完全に日本の歌謡曲マーケット仕様の楽曲である。今回は、秋冬向けの温かみのあるメロディの恋うたでヒットを狙う。これまでポップなダンス曲のシングルが中心であったKARAにとって、これは新たな挑戦でもあるだろう。しかし、あの契約騒動後のKARAの徹底した攻めの姿勢には、本当に物凄いものがある。まさにピンチをチャンスに変えた好例であろう。
11月には、今年の夏に日本デビューを果たしたグループたちが、次々と第二弾作品を発表する。まず、16日にシークレットが“Shy Boy”を、23日にはアフタースクールが“Diva”を、そして30日にT-araが“YaYaYa”をリリースする予定である。いずれも本国では大ヒットを記録した楽曲の日本語版であるため、いやが応にも期待感は高まる。この11月後半のヒット・チャートも、かなり物凄いことになりそうである。
そして、12月にはレインボーが、日本での第二弾シングルとして名曲“Mach”をリリースすることが、すでに決定している。あのヘヴィなアーバン・ファンキー・ハウス曲が、遂に日本上陸すると思うと今にもチビリそうである。できれば、日本盤の“Mach”には、フランキー・ナックルズ(Frankie Knuckles)によるリミックス・ヴァージョンなどを収録してほしいところだ。何とかならないだろうか。また、4ミニッツも、すでに10月から放映が開始されているテレビ東京系列のドラマ「ここが噂のエル・パラシオ」の主題歌“Ready Go”を12月にリリースする。これは、3月9日にリリースされたテレビ朝日系のドラマ「悪党〜重犯罪捜査班」の主題歌“WHY”に続いて、4ミニッツにとって2曲目の日本でのドラマ主題歌となる。この地道に、だが着実に、日本のお茶の間に進出してゆく戦略。かなりの独自な路線を開拓していて、面白い。
さらに、年明け後の12年の1月には、遂にf(x)が日本デビューするという。この状況であれば、いつ来てもおかしくはないのであるが、実際にそういった話が持ち上がり始めると妙に胸が高鳴るものがある。おそらく、いきなり“Chu~♡”の日本語版あたりで攻めてくるのではなかろうか。これもまた、物凄いことになりそうである。‡

(続く)

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