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zoom RSS 2011, Back To Black IV - i

<<   作成日時 : 2011/07/10 03:00   >>

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2011, Back To Black

IV - i

画像東日本大震災から約一ヶ月半程が経ち、突然何かに取り憑かれたかのように猛烈な勢いで進められた、ある程度の原点の辺りまで遡って一気に音楽を聴き返してゆく作業。その過程で、やはり避けて通れぬものとなったのが、日本のロックであった。そこでは、70年代後期の東京ロッカーズ周辺を皮切りに、その流れを追ってゆくように逐次あれこれ掘り返されてゆくこととなった。
リザード(Lizard)やフリクション(Friction)、ミラーズ(Mirrors)(個人的に、初めて買った日本のインディーズのレコードは、ミラーズの7インチ・シングルであったと記憶している)から、ザ・スターリン(The Stalin)やリップ・クリーム(Lip Cream)などのパンク〜ハードコア・パンクへ。そして、これまで、あまり真剣に聴き返す機会のなかったオート・モッド(Auto-Mod)の音源にも、久々に手を伸ばしてみた。

何故、あまりオート・モッドを聴き返せなかったのかというと、独特の強いクセをもったサウンドとヴォーカルが、少しばかりアクが強すぎるように感じてしまっていたのである。よって、どうしてもあの濃密な音の世界に、積極的に入り込むことができずにいた。約25年前には、本当にどっぷりとのめり込んで聴くことができていたというのに。
あの当時は、まだ10代半ばで、相当に感覚的にも若かったからこそ、そこまでのめり込むことができていたのであろうか。若き日の一時期に、まるで熱病に浮かされたように聴き狂っていたからこそ、その日々が遠く過ぎ去ってしまった今となっては、そこまで踏み込んで聴き込むことができなくなってしまっているのであろうか。
ただ、オート・モッドそのものは、常に気になる存在ではあった。それだけ、往時に強く入れ込んだバンドであったから。90年代後半に復活し、都内で定期的に開催されているゴス・イヴェントをオーガナイズするなど、その健在ぶりは目に見えて明らかであったし、特にフロントマンのジュネ(Genet)の綴る築地やラーメンやB級グルメの話題をふんだんに織り交ぜたブログは、ほぼ毎回の更新を大いに楽しませてもらっている。
それでも、何故か、あの頃の作品の世界には、なかなか踏み込めずにいたのである。80年代半ばのカリスマティックな雰囲気と、現在のディープなグルメ系ブログの内容に、ややギャップがあるという点は、ここでは特に大きな問題にはなっていない。予てより、こと食に関しては一家言ある人であることは、重々承知しているので。

しかしながら、今回のトライでは、最初から何かが少しばかり違っていたのである。80年代前半の作品を聴き返してみても、不思議なことに少しもアクの強さのようなものは感じなかったのだ。
やはり、あの3月11日を境に、何かが内面的にも変わったということなのだろうか。もしかすると、これは、わたしたちが実際に生きている日常の現実世界の方が、音楽を通じて描き出された虚構の世界を数段も上回る程にアクが強いものになってしまっているということであるのかも知れない。
そして、久々に80年代のオート・モッドを聴き返しているうちに、そこに何か強く突き刺さるようなものを感じずにはいられなくなった。これは、かなりドキリとさせられる経験であった。ずっと今の感覚とは遠く隔たった過去のものだと思い込んでいたものが、突然にこの今の状況を見透かしていたかのように恐ろしい説得力をもって語りかけ始めてきたのだから。
ただ、今回聴き返してみて感覚したものは、あの当時に感じていたものとは少しばかり違っているような気もするのである。現実が虚構を凌駕するとき、もはや虚構は虚構として成り立たなくなるのではなかろうか。大きく現実世界が変節してしまったとしたら、それは破綻した虚構としてではなく、より現実に近い物語として感じることができるようにもなる。
第二次世界大戦中、米国に亡命していたユダヤ系ドイツ人の哲学者、テオドール・アドルノ(Theodor W. Adorno)は、「アウシュビッツの後で、叙情詩を作るのは野蛮である」という言葉を残している。
ならば、この3月11日以降の世界においても、あの頃のオート・モッドが描き出していた、匂い立つような背徳と退廃の感覚に包まれた野蛮な終末の虚構世界が、おぞましき現実を乗り越えて全く違った響きをもって聴こえるものとなったとしても、決しておかしくはないのかも知れない。

では、そうした音楽の中にある何が、虚構の世界から零れ落ち、25年以上を経た11年の現実とリンクしてグサリと突き刺さったのであろうか。

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