溝!

アクセスカウンタ

zoom RSS VA: Indonesian Netlabel Mixtape: Perempuan

<<   作成日時 : 2011/01/15 04:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

VA: Indonesian Netlabel Mixtape: Perempuan
Hujan! Rekords Hujan011

画像 11年1月1日、この新たな一年がゆっくりと動き出す、節目となる日に、いきなり、極めてアグレッシヴに音楽の時限爆弾を仕掛けてきた者たちがいる。それが、インドネシアン・ネットレーベル・ユニオン(Indonesian Netlabel Union)の面々である。このインドネシアのネットレーベル連合は、インドネシアを拠点にリリース活動を行っている複数のネットレーベルによって組織されている。そして、そのユニオンに参加する五つのネットレーベルから、この元日に、いきなり5作のコンピレーション・アルバムが同時多発的にリリースされたのである。まさに、新年早々、まんまと奇襲攻撃を食らわされた形である。
 今回のこのゲリラ戦を思わせるリリース・プロジェクトに参加したのは、Hujan! Rekords、StoneAge Records、Inmyroom Records、YesNo Wave Music、Mindblastingという五つのネットーレーベルである。それぞれのレーベルによって制作されたコンピレーション作品は、レーベルの垣根を跨いで、極めて自由に越境的選曲がなされている。そのあたりの堅苦しさのなさや自由さは、作品のタイトルにあるようなミックステープ的な色合いを感じさせる作品を生み出す、大きな要因となっていそうである。それぞれの作品が、それぞれのレーベルによる、それぞれのカラーでチョイスされた、インドネシアン・ネットレーベル・シーンのベスト・アーティスト/ベスト曲集といえそうな内容と相成っている。自らのレーベルの作品だけに強く拘らずに、純粋に好きなものを好みに応じて選べるフランクな空気感が、このプロジェクト全体に漂っているのがわかる。いや、その空気感は、このプロジェクトだけのものというよりも、現在のインドネシアン・ネットレーベル・シーン全体を覆っているものであるのかも知れない。今回の同時多発リリース・プロジェクトのそれぞれの作品を聴くことで、そうしたインドネシアのネットレーベル・シーンの今を、一望のもとに俯瞰することができるはずである。
 現在のインドネシアには、非常に活発な音楽シーンがある。ただし、音楽の文化自体が活発であるのは、決して今に始まったことではない。しかし、現在の音楽シーンが、アンダーグラウンドのインディ・シーンにまで広大な裾野をもって拡大し、これまでにないほどの活況を呈し始めていることは確かであろう。幾つものネットレーベルが設立され、多くの若いバンドや宅録のアーティストたちが、そこから続々と作品を発表している状況をみると、新しい時代の波の到来を感じずにはいられない。そしてまた、これほどまでに密に複数のネットレーベルが林立し、多くのバンドやアーティストたちがひしめき合っている地域というのも、世界的に見ても極めて特異な環境だといえるのではなかろうか。そういった、かつてない活況を呈する動きが組織的なものとなり、それぞれのレーベル同士のフランクで密接な結びつきの中から、このようなネットレーベル連合が発展的に生み出されることになってきたのだろう。
 古典音楽のガムランをはじめ、植民地化以降に様々な音楽文化との融合から誕生したクロンチョン、ダンドゥッド、スンダ、ジャイポガンなど、独自の豊かな音楽文化が息づく地であるインドネシア。古くからの伝統や芸能に結びついた音楽だけでなく、独立後の60年代後半あたりからはブリティッシュ・インヴェイジョンの余波を受けてか、ロック・ミュージックの文化が逸早く浸透し、ガレージ系やサイケ系などの多くのロック・バンドが登場した(これは、日本のGSブームと時期的にも音的にもシンクロしている)。昨今、再評価の熱が高まっている伝説のガールズ・グループ、ダラ・プスピタ(Dara Puspita)なども、そうした多くのバンドのうちのひとつである。
 今回のリリース・プロジェクトの5作品をとってみても、そこには様々なジャンルの多彩なサウンドを聴くことができる。ノイズコア、スケートコア、メロディアス・ハードコアなどのあらゆるパンク・ロック、エレクトロニック・ポップ、エレクトロニカ、ダーク・サイケ、ネオ・サイケ、アヴァン・ギャルド、そしてネオ・アコースティックといった、王道からオルタナティヴ・サウンド、果てはノイズや実験的な電子音楽まで、インドネシアのネットレーベル・シーンを構成する音楽のレンジは、実に幅広い。長い伝統と歴史をもつ音楽文化とバンド文化の系譜に連なる、ディープなアンダーグラウンドやインディペンデント系の音楽シーンが、ここにきて新興のネットレーベルのシーンと本格的に交わり、強く結びつきつつある。その結びつきの形のひとつの表れが、このネットレーベル連合なのだ。
 Hujan! Rekordsは、インドネシアのジャワ島西部の都市、ボゴールを拠点とするネットレーベルである。首都ジャカルタの郊外、グデ山やサラク山の麓に位置するボゴールは、鬱蒼と茂る熱帯雨林に隣接していることから、一年を通じて雨量が非常に多く、雨の街という通称でも知られている。ちなみに、レーベル名のフジャン(Hujan)とは、インドネシア語で雨を意味する言葉である。まさに、いかにもボゴールらしい名称のネットレーベルなのだ。09年に設立された、このHujan! Rekordsからは、これまでに、デジタル・ハードコア系から実験的なチップチューンやエレクトリック・ノイズにまで及ぶ、実に幅広い意味でのパンクを感じさせてくれる作品が、10点ほどリリースされている。つまり、レーベルの音の基本は、あくまでもパンクなのだ。そして、このネットレーベル連合によるプロジェクトのために制作された、特別のミックステープ作品“Perempuan”は、Hujan! Rekordsにとっての11作目の作品となる。
 しかし、その作品を紹介する前に、まずはジャカルタのハードコアなパンク専門ネットレーベル、StoneAge Recordsが制作したコンピレーション・アルバム“Indonesian Netlabel Compilation : Riot In The Internet”に関するリリース・ノート(StoneAge Recordsのブログに掲載)の内容を、少しだけ眺めてみることにする。そこには、この同時多発リリース・プロジェクトが、ジョグジャカルタのエクスペリメンタル・ミュージックに特化した雑食系ネットレーベル、YesNo Wave Musicからの働きかけによって動き始めたことなどが記されている。そして、最も興味深いのは、ズー(Zoo)やフラウ(Frau)といったインディ・シーンで活躍するアーティストたちのネットレーベルからのリリース作品(ともにYesNo Wave Musicより)が、都市部のラジオ局を中心に高く評価されていることを受けて、こうしたネットレーベルの動きが、もはや一部の音楽好きが趣味でやっているものという域で語られるようなものではなくなっていると断言されている点である。このステイトメントからは、レンジが広く層の厚いインディ・ミュージック・シーンの充実した盛り上がりとともに、その活況の実状を伝える主要メディアのひとつとなったネットレーベルのシーンそのものが、インドネシアの音楽シーンにおいて、次第に無視できない大きな存在となってきていることを窺い知ることができる。
 インドネシアのアンダーグラウンド・シーン/インディ・ミュージック・シーンは、新たな音楽メディア/プラットフォームとしてのネットレーベルというものに大いなる可能性を見出し、そこに新時代の音楽の流通形態や、閉鎖的になりがちなローカルなシーンの外側の世界への繋がりや広がりの道筋を模索しつつある。そうした認識の裏側には、ローカルなシーンの盛り上がりを当事者が実感しているとともに、その内部での頭打ちな現状を極めて冷静に受け止める、確かな批評眼が存在しているのである。
 また、そこからは、旧来のメイジャーな音楽シーンに相対するアンダーグラウンドやインディといった位置づけや図式とは、また違った音楽の在り方に積極的な意義と活路を見出してゆこうとする姿勢も生じつつあるようだ。これまでの固定化された価値観によって描き出されていた、一方通行路的なマイナーからメイジャーへの上昇とは異なる、より国際的で越境的な広がりのある音楽の可能性への取り組み。そうした可能性を見出せる部分にこそ、何ものをも拒まぬ全方位的に開かれたネットレーベルというメディア/プラットフォームの本質的な新しさがある。
 インドネシアのネットレーベル・シーンは、地域的な音楽文化の深い伝統や充実した若い音楽シーンを背景にして形成され、そして21世紀の高速のデジタル・ネットワークによって培われた時代精神を受けて、ネットレーベル連合の動きへと一気に加速していったようだ。世界の周縁で鳴らされるアンダーグラウンド・ミュージックやインディ・ミュージックに終始つきまとう閉塞感の暗い影。ローカルでありながらもグローバルなネットレーベル・シーンは、それらの全てを打ち破る大いなる可能性とポテンシャルを秘めている。そして、今、インドネシアのネットレーベル連合は、この11年元日の同時多発リリース・プロジェクトがもたらす強烈なインパクトによって、さらにその殻を破って外側へと飛び出してゆこうとしているのである。
 この“Perempuan”は、10組のアーティストによる全10曲を収録したミックステープ作品である。ペレンプアン(Perempuan)とは、インドネシア語で女性という意味。つまり、作品のコンセプトも、ずばり女性である。インドネシアのネットレーベル・シーン/インディ・ミュージック・シーンで活躍する女性アーティスト(もしくは、女性をメンバーに含むグループ/ユニット)による10曲が、ここにコンパイルされている。選曲は、Hujan! Rekordsのリッキー・ヴォルタ(Ricky Volta)とタフ88(Tahu88)。おそらく、21世紀は、これまでよりももっと女性のアーティストが活躍の場を広げてゆく時代となるだろう。それを証明するかのようにインドネシアの音楽シーンにおいても、多くの女性アーティストたちがインディペンデントに活動し、優れた音楽作品を発表している。そのほんの一端であろう全10曲を、ここに確認することができる。
 1曲目は、ジ・アナログ・ガール(The Analog Girl)の“Hyp”。これは、10年7月にStoneAge Recordsより発表された、インディ・ロックやシューゲイザー系のアーティストやバンドの作品を中心に編まれたコンピレーション・アルバム“Silent Sight”に収録されていた楽曲。ダウナーなトリップ・ホップ調のエレクトロニック・サウンドに、透明感と浮遊感のあるウィスパリング・ヴォーカルがのる。厳密にいえば、このジ・アナログ・ガールは、インドネシアではなく、シンガポールを拠点に活動しているアーティストである。しかし、いまやアジアを代表するインディ・アーティストとして、日本や台湾、そしてニューヨークやヨーロッパでも高く評価されている、その独特の音楽性は、インドネシアのシーンにも影響を与え、かつまた大きな刺激の材料となっていることも確かであろう。本作の冒頭を飾る一曲としても、決して違和感はない。
 2曲目は、バレリーナ・キラー(Ballerinas Killer)の“Seharusnya Kau Tahu Arti Sepi”。これは、10年9月に音楽情報サイトのWasted Rockersにおいて紹介された、このバンドのリハーサル・デモ・トラックである。ひっそりとリリースされていたディープなアンダーグラウンド・シーンの音源が、こういった形であらためて広く紹介されるということは、実に有意義なことである。バレリーナ・キラーのサウンドは、無骨で不器用な表現の中にも独特のポップ性をしっかりと内在させた、正統派のオルタナティヴ・ロックである。ラフでグランジーなギター・サウンドと、女性ヴォーカリスト、UQよる終始淡々としたメランコリックな脱力歌唱が、非常によくマッチしている。
 3曲目は、サリン(Sarin)の“The Tears Never Stop Until I Close My Eyes”。これは、バンドンに拠点を置いていたInvasi Recordsが、08年に記念すべき第一弾リリースとして発表したコンピレーション・アルバム“First Impression”に収録されていた楽曲。Invasi Recordsは、実験的なエレクトロニック・ミュージックとポストロックを中心にリリース展開をしていた伝説のネットレーベルである。サリンの音楽性は、その後者の部類に属する。サウンドは、明らかにネオ・アコスティックにルーツをもった、インストのポストロック・スタイル。インドネシアの音楽シーンには、ハードコアなパンク・バンドも多いが、実はハードコアなネオ・アコ・バンドも、これまた非常に多いのだ。そして、その大半が、驚くほどに、とてもハイ・クオリティなサウンドを奏でているのである。このサリンも、その系列に属するバンドだといえるであろう。
 4曲目は、アンサ&セリガラ(Angsa & Serigala)の“Bahagia”。こちらも、前述のStoneAge Recordsのコンピレーション・アルバム“Silent Sight”に収録されていた楽曲。アンサ&セリガラは、10人のメンバーからなるバンドンの大所帯バンド。そのメンバーの中には、ヴァイオリンやホーン(トランペット、トロンボーン)のプレイヤーなども含まれており、非常にアーシーで骨太なオーセンティック・ロック・サウンドを生み出している。男女のツイン・ヴォーカル・スタイルが、地に足のついたメロディアスな楽曲をドラマティックに彩る。雰囲気としては、ディーコン・ブルー(Deacon Blue)が、どっぷりとケルト音楽の世界に浸かりきったような感じであろうか。非常に渋く、スケールの大きい、とてもよいバンドである。
 5曲目は、エツァ・メイシャラ(Etza Meisyara)の“Marionette Opera”。これは、Inmyroom Records(10年3月22日)とStoneAge Records(10年4月23日)による合同リリースという形で発表されたEP作品“Collapse”に収録されていた楽曲。メイシャラは、バンドンを拠点に活動するソロ・アーティスト。デビュー作の“Collapse”では、アンビエント・エレクトロニカとローファイ・フォークが、ベッドルームの宅録スタジオという小宇宙で融合した、奇跡のドリームポップを展開していた。独特の浮遊感と素朴なまろやかさをもった、清らかな歌声も魅力的である。実は、今回のネットレーベル連合のプロジェクトにおいて、メイシャラの楽曲は、本作だけでなく5作品中の3作品に収録されている。Inmyroom Recordsからの“Inmyroom – Netlabel Mixtape Vol. 1”には、本作と同様に“Marionette Opera”が、そしてMindblastingからの“Pop Is Dead: Indonesian Netlabel Mixtape”には、“Collapse”収録の“Sounds-Sleep”が、それぞれ選曲されているのだ。この相当なまでの人気ぶりからも、彼女の独創性に満ちたサウンドに対する、評価の高さを窺い知ることができるのではなかろうか。
 6曲目は、エレクトリカル・アドレス(Electrical Address)の“Travolution”。これは、09年にInvasi Recordsよりリリースされたアルバム“Electricspacelove”に収録されていた楽曲。エレクトリカル・アドレスは、スマランを拠点に活動するエレクトロニック・ポップ・ユニットである。80年代のシンセ・ポップを思わせる、瑞々しいビートと電子音の疾走の上に、朴訥とした男女のツイン・ヴォーカルがのる。また、アルバム“Electricspacelove”では、ザ・キュアー(The Cure)の初期の名曲“Boys Don't Cry”をオールドスクールなエレポップ調のアレンジで見事にカヴァーしていたりもする。このエレクトリカル・アドレスの明らかに本格派のサウンドは、注目に値する。
 7曲目は、ザ・フランケンストーン(The Frankenstone)の“Uncommercialized Prostitue”。これは、09年にYesNo Wave Musicより発表された、全19曲収録のアルバム“Don’t Be Sad, Don’t Be Gloom The Frankenstone Is Ugly”からの一曲。ザ・フランケンストーンは、ジョグジャカルタを拠点に活動する、アグリーなサウンドを身上とする3ピースのポップ・パンク・バンドである。そのサウンドは、ラモーンズ(Ramones)の時代から現代にまで脈々と受け継がれてきている、ノイジーなギターと真っ直ぐに突っ走るビートで簡潔に構成された、王道のパンク・スタイル。60年代のポップスをベースにした黄金のメロディと、ちょっぴり投げやりな女性ヴォーカルも、きっちりと作法通りだ。パンクとは、いつまでも錆びつくことのないエヴァーグリーンな音楽。そして、それは決して終わることのない青春。聴けば、誰でも一瞬にして、初めてパンクを聴いた10代の頃の気持ちに戻ることができるのだ。
 8曲目は、アメイジング・イン・ベッド(Amazing In Bed)の“Lagu Hujan”。これは、バンドン出身のインダストリアル・ロック・バンド、コイル(Koil)のカヴァー曲。09年7月に音楽情報サイトのDeathrockstar.infoによって企画された、コイルのトリビュート・アルバム“Kami Percaya Kau Pun Terbakar Juga”に収録されていた楽曲である。アメイジング・イン・ベッドは、ジャカルタを拠点に活動する5人組のロック・バンド。エッジのあるギター・サウンドを中心としたパワー・ポップ・スタイルを得意としているが、ここではアイルランドやスコットランドのバンドにも通じるような、ドッシリとした安定感のある清々しい演奏を繰り広げている。女性ヴォーカリスト、マヤ・メヨウ(Maya Mayow)の凛とした歌唱も素晴らしい。世が世なら、Rough TradeやCreationあたりから作品をリリースしていたかも知れないような、なかなかの実力をもつバンドである。
 9曲目は、ピウィー・イン・ザ・ガレージ(Pewee In The Garage)の“Distance”。これは、10年10月にInmyroom Recordsより発表されたアルバム“Reunion”に収録されていた楽曲。ピウィー・イン・ザ・ガレージは、これと同時期に、もう一枚のアルバム“Home”を、同じくInmyroom Recordsよりリリースしている。いきなりアルバムを立て続けに発表するという強烈なデビューを飾ったピウィー・イン・ザ・ガレージだが、南ジャカルタを拠点に活動するピウィー(Pewee)によるソロ・プロジェクトであるということ以外は、あまりよくわかっていない。シンプルなポップ・ロック曲を、ソフトなエレクトロニック・サウンドで丁寧に仕立て上げ、そこに澄んだ歌声の囁き気味のヴォーカルをのせる。どこか北欧系の香りも漂う音である。素朴だが、一流のポップ職人による仕事と呼べるような完成度を誇るクオリティ。素晴らしい才能である。
 10曲目は、ザ・ウィスピー・ハンマーズ(The Wispy Hummers)の“For Now”。これは、バンドンのインディ・ロック・バンド、ショートハンド・フォネティックス(Shorthand Phonetics)によって設立されたYesNo Wave Music系列のネットレーベル、Tsefula/Tsefuelha Recordsより10年11月に発表されたEP作品“The Wispy Hummers”に収録されていた楽曲。ザ・ウィスピー・ハンマーズは、南ジャカルタを拠点に活動するアコースティック・ギター弾き語りのアーティスト。時として、打ち込みのビートがささやかに添えられることもあるが、基本的なサウンド・スタイルは、宅録のローファイ・フォークである。ひっそりと孤独の淵から旋律と言葉を紡ぎ出すような、かなり本格派のストレートなフォーク・シンガー・タイプの才能だ。ちなみに、この楽曲は、Inmyroom Recordsの“Inmyroom – Netlabel Mixtape Vol. 1”にも締めの一曲として収録されている。まさに文句なしの名曲である。
 こうしてザッと眺めてみただけでも、ローカルなインディ/ネットレーベル・シーンだけの活動のみにとどまらず、より広く世界的なレヴェルの知名度を得ていても決しておかしくはないような、ハイ・クオリティな作品を生み出すアーティストが、本当に多いことに、まず驚かされる。インドネシアの音楽シーンは、もっと高く評価されて然るべきである。東南アジアは、音楽的にも文化的にも、世界の辺境でも、その外郭でもない。この作品では、極めて純粋に音楽性とサウンドの追求がなされた、パンク、オルタナティヴ・ロック、グランジ、ネオ・アコースティック、ポストロック、エレクトロニカ、シンセ・ポップ、パワー・ポップ、サイケ、プログレ、エクスペリメンタル、宅録フォーク、などの実に多彩な音を聴くことができる。たった10曲の女性アーティストによる楽曲ばかりを集めたコンピレーション・アルバムで、これだけの現地の音楽シーンの奥深さを垣間見せられるのだから、現実の活況ぶりは推して知るべしであろう。こんな素晴らしい宝の在りかを知ってしまったからには、インドネシアのネットレーベルよりリリースされる作品に、これからはさらに注目してゆかざるを得なくなりそうである。まだまだ知られざる新たな才能が、彼の地にはわんさと存在するはずだから。
 Hujan! Rekordsによって選曲された本作は、コンセプチュアルな統一感をもつ、非常に素晴らしいコンピレーション・アルバムとなっている。ただし、それはHujan! Rekordsからのこの“Indonesian Netlabel Mixtape: Perempuan”だけに限ったことではない。StoneAge Recordsからの“Indonesian Netlabel Compilation : Riot In The Internet”も、Inmyroom Recordsからの“Inmyroom – Netlabel Mixtape Vol. 1”も、YesNo Wave Musicからの“Music Beyond No Borders Vol. 3”も、Mindblastingからの“Pop Is Dead: Indonesian Netlabel Mixtape”も、おしなべて相当に聴き応えのある作品に仕上げられているのだ。それぞれがそれぞれに違った味わいをもつ選曲を繰り広げているので、あれこれ聴き比べてみるのも楽しいであろう。きっと、そこからは、インドネシアのインディ/アンダーグラウンド・ミュージック・シーンのもつポテンシャルの高さや、その凄まじいまでの充実ぶり、そして音楽的な豊かさなどを、まざまざと感じ取ることができるはずだ。
 今回のネットレーベル連合による同時多発リリース・プロジェクトは、その過去に前例がないような企画そのものから、年始というタイミングを見計らったアクティヴィティ、そしてそれら5作品の内容に至るまで、非常に強烈なインパクトのあるものであった。おそらく、これを機に、インドネシアの音楽に対して、さらなる興味を抱いた者も多いのではなかろうか(このわたしのように)。間違いなく、インドネシアは面白い。伝統のガムランからエクスペリメンタルなエレクトロニカまで、この国の音楽文化の奥深さ・懐の深さには、本当に驚嘆すべきものがある。(11年)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
VA: Indonesian Netlabel Mixtape: Perempuan 溝!/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる