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zoom RSS Delta 5: See The Whirl

<<   作成日時 : 2008/01/19 02:09   >>

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Delta 5: See The Whirl
Polystar Japan 25S-55

画像 80年代初頭のRough Tradeの黄金期において、スクリッティ・ポリッティやスリッツなどとともにレーベルの屋台骨を支えていたデルタ5。彼らは、78年にリーズで女の子3人組のトリオ・バンド(ベースが2人にギターが1人という実に異色な編成)として結成され、その翌年にギターとドラムスの2人の男性メンバーが加わり5人組となって本格的な活動を開始した。ヴォーカルを担当するのは、ギターのジュールズ・セイルとベースのロス・アレンにベサン・ピーターズ。いずれもオリジナル・メンバーの女の子たちである。女性ヴォーカルのグループということで、当時のレーベル・メイトでもあったレインコーツやエッセンシャル・ロジックなどと比較されることも多々あったであろう。だが、このデルタ5の歌には、勢いよくユニゾンでどこまでも一気に突っ切ってしまう、圧巻の潔さがある。細かいことにはとらわれず、自らの主張を歌に託して思いきり叩きつけることに最も重点が置かれているかのようだ。やや危なっかしい面もそこここにあるのだが、溌剌と弾けるように楽器と戯れつつビシッと決めるところは決めてしまう。どこか究極的に素人っぽい香りを漂わせながら、ちょっと変わったバンド編成で完全にオルタナティヴな音の塊をポンポンと叩きだしてゆくのが、デルタ5の最大の持ち味である。
 本作は、81年に発表されたデルタ5が残した唯一のアルバムである。Rough Tradeよりポスト・パンク期を代表する3枚の名作シングル(“Mind Your Own Business/Now That You've Gone”、“Anticipation/You”、“Try/Colour”)をリリースした後に、デルタ5はインディのレーベルを離れ、大手のCharisma傘下のPreとの契約を交わしている。これは、より大きなマーケットにアピールすることを望んだ結果としての移籍であったのであろう。当時は、まだまだパンク〜ニュー・ウェイヴ系のインディ・レーベルのシーンは歴史が浅く、大手のレーベルの音楽マーケットとは完全に別個の独自なものとして存在していた(ゆえに、気兼ねなく完全にオルタナティヴで有り得たのだが)。しかしながら、往時より25年以上が経過した現在の視点から振り返ってみると、この移籍の判断は少しばかり勇み足であったような気がしないでもない。とりあえず、最初のアルバムだけでもRough Tradeで制作しておくべきだったのではなかろうか。若きインディ・レーベルにとってアルバム制作の予算なんていうものは、きっと雀の涙ほどしか捻出できなかったかも知れないが。それでも、しばらくは我慢強く細々とした活動にいそしんで、大手への移籍は踏みとどまっておくべきだった。その結果として、このデビュー作にはRough Trade時代に発表されたデルタ5の代表曲は“Anticipation”のみしか収録されていない。これは、非常に残念な結果である。しかも、邦題が『モダニズム〜情熱への回帰』という意味もなく意味ありげな無茶苦茶なものになってしまっているのも異様に泣ける。勇ましく駆け回るホーン・セクション、スティール・ギター、シンセサイザー、テープによるSEなどの多彩なサウンドを導入し、かなり意欲的にアルバム制作に取り組んだのであろう痕跡は、あちらこちらに見て取ることができる。2本のベースとドラムスを軸に生み出されるデルタ5ならではの太さと柔軟さが組み合わさったバウンシーなニュー・ウェイヴ・ファンクが、とても躍動感のあるヴィヴィッドな音でレコーディングされている点もかなりポイントは高い。ギャング・オブ・フォー直系のノイジーな剃刀ギターの切れ味も抜群だ。B面の終盤をドラマティックに飾る微かなウェスタン風味がきいている“Telephone”などは、なかなかの名曲である。しかし、この作品はメジャーな音楽マーケットを選択したデルタ5にとっての最初で最後のアルバムとなってしまった。はたして、彼らはここですべてを出し尽くすことができたのだろうか。ただ、急進的な反人種差別運動を展開する筋金入りの社会派アクティヴィストでもあったデルタ5のメンバーたちが、大手のレコード・レーベルに所属し資本主義の原理にのっとって商業的な音楽活動を行うことに、大いに違和感や矛盾や疑問を感じたであろうことは容易に推測することができる。やはり、彼らはそのラディカルな信念を貫く意味でもRough Tradeにとどまりインディペンデントな姿勢を貫くべきだったのではないだろうか。まあ、今となっては全て後の祭りであるのだが。その後、デルタ5というバンドは本作発表後の突然のメンバー交代劇を経て、82年にシングル1枚(“Powerlines/The Heart is a Lonely Hunter”)をリリースしたのみでヒッソリと消滅してしまう。
 アルバムの収録曲においてB面の2曲目“Make Up”のみが純粋なデルタ5のオリジナル曲ではなく、リーズのローカル・ヒーローであるミーコンズ(The Mekons)のリーダー、ジョン・ラングフォード(スリー・ジョンズ、ウェイコ・ブラザーズ)とバンドとの共作曲としてクレジットされている。ラングフォードは、初期のトリオ時代のステージにもサポート・ドラマーとして参加していたという経歴をもつデルタ5とは浅からぬ縁の持ち主。しかも、このラングフォードは、80年頃にはリーズ大学周辺でアンドリュー・エルドリッチとゲイリー・マークスによって結成された最初期のシスターズ・オブ・マーシーにもベースのサポート・メンバーとして参加していたりする。このあたりの当時のリーズのアンダーグラウンドな音楽シーンのコネクションには、非常に興味深いものがある。

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