溝!

アクセスカウンタ

zoom RSS Deep Joy: Fall

<<   作成日時 : 2007/12/08 16:28   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

Deep Joy: Fall
Brainiak Braink 05

画像 90年に発表されたディープ・ジョイのファースト・シングル。ディープ・ジョイは、ジョンノ・カッソン、スチュアート・デイス、チャーリー・ラビカーノからなるロンドンで結成された3人組のユニット。リリース元となっているBrainiakは、シーン・マクラスキーとマーク・ウィーガンがウェスト・エンドで89年にスタートさせたアンダーグラウンド・ハウス・パーティ、Brain Clubが母体となり設立されたインディ・レーベルである。NYのディープ・ハウス・シーンで活動していたブルージーンの作品を積極的にロンドンに紹介したり、Brain Clubでライヴ・パフォーマンスを行うアシッド・ハウスの大旋風に触発されて音楽制作を始めた若き才能たちの作品をリリースしたりと、なかなかに個性的で面白い動きをみせていたレーベルであった。また、マクラスキーが在籍していたバンド、If?のアンダーグラウンド・ヒット曲“Saturdays Angels”を最初にリリースしたのもBrainiakだった(すぐにMCAとの契約を交わし、MCA盤が再リリースされてヒットを記録した)。ディープ・ジョイの“Fall”は、そんなロンドンのアンダーグラウンド・クラブ・シーンの動きと直結したレーベルが送り出した、極めて初期のシングルである。
 87年、イビザ帰りのDJ、ダニー・ランプリングが、ロンドン西部のケンジントンにおいて小さなフィットネス・センターを即席のクラブ・スペースに改装してアンダーグラウンドなパーティをスタートさせた。そのパーティこそが、ロンドンで最初にバレアリック〜アシッド・ハウスを専門的にプレイしたとされる伝説のパーティ、Shoomである。ディープ・ジョイのメンバーは、このShoomに足繁く通う常連客であった。ランプリングは、この若く無名なミュージシャン集団の才能を早くから認め、彼らの活動を助け、尻を叩いて初めてのレコーディング・セッションに臨ませたという。そこで録音されたデモ・テープに収録されていたのが、ディープ・ジョイが一番最初にグループとして書き上げた楽曲“Fall”であった。このデモ・テープを受け取ったランプリングは、すぐさまDJを務めていたKiss FMのミックスショーで“Fall”をプレイし、その後も何週にも渡って番組で紹介し続けたのだ。この人気DJによる強力な後押しを受けて、ロンドンのアンダーグラウンド・シーンで瞬く間に話題となっていた“Fall”に、いち早く目をつけたのがBrainiakだった。多くのハードコアなダンサーたちに惜しまれつつShoomがその幕を閉じたのが89年のことであり、そのUKハウスの第一世代がシーンに与えた大きなインパクトを受け継ぐ形で同年に走り始めたのがBrain Clubなどのアンダーグラウンド・パーティであった。そのことを考えると、この一連の流れや繋がりには妙に納得できるものがある。
 Brainiakは、このすでにデモの段階で話題になっていた“Fall”の正式なレコーディングに際して、ジャー・ウーブル率いるインヴェイダーズ・オブ・ハートのメンバーであったデイヴィッド・ハーロウをプロデューサーに起用している。サックスを大々的にフィーチュアした、ファンキーなハウス・スタイルのブラス・ロック。または、鍵盤とホーンで煽るだけ煽る、ジャズ・ファンクと呼ぶにはチョット刺激的すぎるハウスとロックの融合。“Fall”のサウンドを大雑把にとらえるならば、そんな感じだろうか。ドッシリとした抑えめのBPMで刻まれる四つ打ちビートに絡むブヨブヨのベースラインには、アシッド・ハウスからの影響が強くうかがえる。また、楽曲のダンサブルなノリをグイグイとリフト・アップさせてゆく扇情的なピアノは、ハッピー・マンデイズなどの当時のイケてるインディ・ダンス・ロック勢が好んで取り入れていた流行の音でもあった。このシングルでミックスを担当しているのが、89年にFactoryより発表されたハッピー・マンデイズのヒット作「Madchester」で“Hallelujah”のリミックスを手がけていたアンドリュー・ウェザオールであるというのも、もしかすると決して単なる偶然ではないのかも知れない。Brainiakにとって、ディープ・ジョイの“Fall”とは、マンチェスターのクラブ、Haciendaを根城としながらUK全土にセンセーションを巻き起こしていたハッピー・マンデイズへの、ロンドンのBrain Clubからの返答という意味合いを込めたシングルだったのであろうか。しかしながら、このシングルは、それが何かに対しての返答であると多くの人に認知されるほど大きなヒット作とはならなかったのである。残念ながら。エクスタシーの海に沈殿してイイ加減なバカ騒ぎをしているだけの空虚なインディ・ダンス・ロック勢と同じ土俵に上がるには、ディープ・ジョイの連中はチョットだけマトモ過ぎた。彼らにとっては、トリップや酩酊や自己顕示よりも音楽性やグルーヴのほうが重要だったのである。
 このファースト・シングル以降のディープ・ジョイは、よりアシッド・ジャズ〜フューチャー・ジャズ的な方向性を強めた活動をしてゆくこととなる。90年代中期にMo WaxやドイツのMarlboro Musicに幾つかの作品を残しているが、やはりここでも目が覚めるようなヒットに恵まれることはなかった。残念ながら。やはり、ディープ・ジョイとは、ダンス・ロックでレイヴ・オンな時代の徒花であるかのような“Fall”のディープ・ジョイとして記憶され語り続けられることを宿命づけられている連中なのであろうか。ウェザオールによる最初期のスタジオ・ワークのひとつである、名ミックスを収録した本盤。この、いかにも90年っぽいチャンキーなサウンドに耳を傾けながら、ハウスもテクノもロックもジャズも垣根無く地続きで繋がっていた天真爛漫な時代に思いを馳せる。90年なんてもう、遠い遠い遥か大昔である。思えば遠くへ来たもんだ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
Deep Joy: Fall 溝!/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる